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総合医学研究所長 森 正樹

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 総合医学研究所の理念は、東海大学医科学先端研究の中核拠点となるべく、ゲノム・再生医療・創薬における基礎・応用が一体となったトランスレーショナルリサーチを推進し、社会に貢献することです。そのため、医学系・生命科学系・理工学系の東海大学各学部の連携を推進し東海大学における医科学研究のさらなる活性化を図ること、医学部との連携を通じて若手医師の研究を活性化し幅広い人材育成の受け皿として機能することを運営目的とします。
 2016年度から部門名称から各部門の研究内容が可視化できるように、かつ新たに加わった若手の所員が部門内で協力を得つつ充分な力を発揮できるような組織構成を目指して、再生医療学研究部門、ゲノム解析研究部門、創薬・病態解析研究部門、血液腫瘍学研究部門、肝臓・腎臓病学研究部門の5つに再編しました。各部門には、医学部教員より実力と実績のある研究者19名(2023年度)を所員として配置し、さらに所員より推薦された研究員で構成しています。所員間の有機的な連携、創造的な融合を期待するため、研究所としての重点テーマ”ゲノム・再生・創薬”を掲げ、東海大学医科学研究分野の限られた人的リソースの中で、国際的に評価される付置研究所として機能させるべく運営しています。
<2023年度方針>
マイクロ・ナノ研究開発センターとの連携
関連他学部との共同研究を更に発展させるため、マイクロ・ナノ研究開発センターと共同研究を進めているプロジェクトからコアプロジェクトを選定する。
「特別研究所員(時限付)制度」の推進
3領域相互の共同研究をより発展させるべく、それぞれの領域のエキスパートからの支援を受けやすくして、より多くの高いレベルの研究業績を産み出し、1つのテーマに対して様々な視点からのアプローチを可能とする体制を目指す。
各研究会・座談会の開催
“学内外への広報や若手研究者の育成、医科学分野に関連した他の学部や研究機関との連携”を目的に研修会、公開研究報告会(研究成果報告)、新聞紙上での座談会を企画する。
広報活動の推進
研究成果、活動状況を所報・HP・東海新聞(大学HP)・科学新聞(座談会)に公開し、幅広く情報を発信する。
<2023年度コアプロジェクト>
「T細胞の初期発生を制御するステージ特異的な転写因子複合体と液相分離」                    プロジェクトリーダー:生体防御学 准教授 細川裕之
【期待される効果】
病原体に対する免疫応答を制御するT細胞の系列決定をモデルとし、T細胞の生涯を通じて発現量の変化しないRUNX転写因子がどのようにT細胞の分化や機能を制御しているのか、相分離現象に着目しその生理的なメカニズムの解明を目指します。また、RUNXの体細胞変異はT細胞の腫瘍化を引き起こすことも知られています。RUNXの生理機能を理解すると共に、その制御方法を検討することで血液腫瘍に対する新しい治療法の確立に向けて研究を行います。
<若手の育成・支援プロジェクト>
2015年度から若手研究者を対象とした「特別研究所員制度」を設けています。特に臨床医は、病棟や外来などの業務で忙しく、せっかく研究テーマを持っていても割く時間や研究費の問題など、さまざまな困難が待ち受けています。医学研究を行う若手研究者を育成すること、これは総合医学研究所に課せられた使命のひとつです。研究者の底辺を広げていくために、将来性があると見込まれた研究テーマについて、研究費を補助して(3年間の期限で年間100万円)、研究に集中していただくのがこの制度です。また所属領域の領域主任の先生には、研究を優先する環境を保証していただくことも制度適用の前提条件としています。
総合医学研究所は、ゲノム・再生・創薬の3領域のアクティビティの高い研究者が所員として構成されていることから、それぞれの領域にとどまらず、3領域相互の共同研究をより発展させていきたいと考え、それぞれの領域のエキスパートからの支援を受けやすくして、より多くの高いレベルの研究業績を産み出すこと、1つのテーマに対して様々な視点からのアプローチを可能とする体制を目指す旨の方針を達成目標に掲げ「若手育成・支援プロジェクト」を進めてきました。その結果、所内、他学部との連携が活発に進められ、達成目標は着実に実現されています。2023年度は、新たに生体防御学の津川 仁講師を登用し、2021年度に登用された生体防御学の細川裕之准教授と健康管理学の今井 仁講師の3名が特別研究所員(時限付)として活動しています。
所員間の緊密な共同研究により多大な成果が得られ,国際的にも評価の高い雑誌に論文が掲載されたことは、研修会やシンポジウムを通じて、若手をはじめ研究者間の連携・交流、活発に議論できる環境づくりの成果だと自負しています。このような環境を促進する意味でも、今後とも東海大学全体の生命科学分野での重要な研究会とし、”研究の峰”のライフイノベーション研究に貢献したいと考えています。